「自分がやり込んだ、レトロゲームの世界へ!」
普通のなろう小説であれば、周りが驚くほどの無双をします。
けれど、カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~1の桐山蓮に世界を救う気はなく……。
二次創作からオリジナルへの昇華!
私は二次創作から入り、『カクヨム』でオリジナルへ挑戦。
今から読み直すと苦笑しますが、全てはこの作品があってこそ!
ハーメルンで書いていた二次創作から
アニメ、ゲームの二次創作で有名な『ハーメルン』という、小説投稿サイト。
ここで『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の世界で、オリキャラや他の版権キャラを登場させての群像劇に。
初雪空の原点であり、連載中はそこそこの人気と、低評価でした。
人気キャラを貶していたことで、強烈なアンチがついた結果。
ともあれ、ダンまちの世界観やキャラを壊していくことに飽きて、いよいよオリジナル作品へ!
『ハーメルン』の作品を全て削除したあとで、心機一転。
しかし、オリジナルの書き方が分からず、自分の二次創作を引きずっています。
『カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~』のキャラが多いことも、その名残。
桐山蓮からレンとなった男子に好意を寄せているリュミールに、その上司である女神アルティミオ。
2人だけなら、よくあるラブコメですが……。
冒頭からヒロイン多すぎ!?
リュミールは、三姉妹の次女。
長女のエミリア、三女のステラもいて、レンはアルティミオの館に居候という形です。
近くにある城壁都市ランダナで冒険者となり、物語が始まります。
私の作風ですが、チートありの異世界ファンタジーにしては、男女が対等。
レンを全肯定とはならず、リュミールを怒らすことも多々あります。
また、登場する美少女キャラが絶対に惚れるわけでもなく。
アルティミオの館をプライバシーゾーンとして他の男を入れなかったのは、良い判断でした。
竿役はいりません。
もっとも、レンやリュミールがひどい目に遭うことが多く、『カクヨム』で伸び悩み。
序盤は方向性が定まっておらず、スローライフ、冒険による無双、領地経営での成り上がりと、あらゆる方向を目指せるようなポジションでした。
初期プロットは「勇者と魔王」だった
今代の勇者ミレイユは、異世界ファンタジーの王道である魔王と戦う役割。
ですが、レンとリュミールの仲が良すぎて、割り込めなかった感じです。
恋敵としては、この【ペリークリトル】での人気キャラ、シスター・クラリッサがいますし。
今から思えば、勇者ミレイユを始めとするハーレムパーティーでも良かったですね?
たぶん、そのほうが人気になりました。
この「勇者と魔王」は、放り投げたまま。
勢いで書いており、「辺境のカラウィ村でのゴブリン騒動」へ進んでいます。
レンの「勇者嫌い」という設定は、本人が覚醒しての女神アルティミオの終末勇者で、無事に破綻。
まあ、本人は嫌がっていますけど。
勇者ミレイユ? 誰でしたっけ、それ?
魔王退治からFSSへ変化した
魔王退治を放り出したことで、レンは自由に。
『ファイブスター物語(以下、FSS)』のモーターヘッドのような戦闘へ!?
モーターヘッドのような巨大ロボット
『機動戦士ガンダム』とは違う系譜の、巨大ロボット。
『FSS』のモーターヘッド(現、ゴティックメード)と同じものが、レンの愛機になりました。
モデルは、「エンゲージ オクターバー SR1」です。
神剣ナノシュナイデンから、ほぼ等身大のパワードスーツ、巨大ロボットへ!
そのホワイトオーダーだけで、オーバーキルですが……。
リュミールたち三姉妹も、「レッド・ミラージュ」をモデルにした巨大ロボットがあります。
この時点で、レトロゲーム【ペリークリトル】の世界で最強に!?
人数を増やしすぎたうえに、巨大ロボット。
ホワイトオーダーは2巻目の最後に出て、その相手となるのは同じ存在だけ。
必然的に、始まりの街ランダナを旅立つのです。
TRPGを意識しすぎてスロースタート
『カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~』は、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム)でした。
レベルMAXのはずが、初心者のクエストで手こずるように……。
2024年に書き直したら、最初から無双させます。
初めてのオリジナル作品で、加減が分からなかったから。
硬派な異世界ファンタジーだった昔なら、もう少し評価されたでしょう。
現状では、作中のキャラへの発言ですら、強い言葉を嫌います。
するとしても、過剰なまでの報復を望んでおり、読者層がだいぶ変わっている印象。
知り尽くしたゲーム世界で無双するべきところを「ジッと我慢する」という異世界恋愛にしたことは、大きなミスマッチだったと言わざるを得ません。
ともあれ、『カクヨム』連載中はそれなりの人気で、ランキング上位は狙えないポジション。
彼女と一緒に歩んでいくゲーム世界
リュミールに招かれて、彼女と一緒の生活。
男性向けというには生々しく、さりとて、女性向けの恋愛でもない……。
マーケティングをちゃんとして、タイトルを変えるだけで、まだ伸びる作品でした。
しかし、もう販売しており、ストーリーも完結済み。
リュミールは嫉妬深く、クラリッサが「都合のいい女」ポジでぐいぐい来たものの。
女をはべらすハーレムのわりには、人数が少ないですね?
いきなり大人の関係になった時点で、中高生は共感できないでしょう。
恋人未満で、じりじりと過ごさなければ。
だけど、私は『カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~』を完結させて、良かったと思います。
ハーレムになったがシリアス展開
知り尽くした【ペリークリトル】の世界だけど、ほぼ初見!?
レンは、やがて自分にふさわしい立場へと……。
女に囲まれてもハーレム要員は少ない
前述したように、アルティミオの館に居候するレン。
ロリ巨乳の女神と美人の三姉妹がいる楽園です。
けれど、ヒロインとなるのはリュミールと、シスター・クラリッサぐらい!?
徒歩で行けるランダナが、序盤の舞台。
レンの評判は悪く、当の本人はそれを気にしていない感じ。
行き倒れの寸前であるミレイユが訪れ、そこから物語が展開していきます。
『異世界はスマートフォンとともに。』を参考にして「出会った美少女は俺の嫁!」と振り切ることも、1つの選択でしたね?
ともあれ、半同棲のリュミールを彼女にしつつ、ランダナの教会にいるクラリッサとのラブコメ♪
ただ、TRPGを意識しすぎて、「低レベルの冒険者は苦戦する」という鉄則を遵守。
そのせいで、どっちつかずのダークファンタジーに。
世界を救わずに自分と彼女を守るだけ!
レンは、望んで異世界に来たわけではなく、親切にしてくれたのはアルティミオ達。
それゆえ、ランダナの領主と会わず、下の冒険者からの出発!
戦場乙女のリュミールと共に、終末勇者のスキルを振るっていく……。
ランダナを旅立つ3巻目から、デュッセルムント王国のライスデンへ。
ゴブリン退治で知り合った辺境伯令嬢リュシエンヌに案内され、王立ミッセル・アカデミーを次の舞台とするのです。
嫌みを言う貴族はおらず、リュシエンヌが他の令嬢とコミュニケーションをとるぐらい。
しかし、侯爵令嬢であるクラリッサ・リータス・ドゥ・ミーア・キャリヴァルディは、自身の因縁と決着をつけることに……。
最終的に王家との対立と打倒へ!?
クラリッサを巡って、王国の第三王子、セルジュ・ランクザン・ド・デュッセルムントと対立。
陰謀に巻き込まれたレンは、彼を打倒することを余儀なくされます。
いっぽう、第四王女のルイーズ・ランクザン・ド・デュッセルムントは、エルコヤ帝国へ人質になる運命で……。
レンの雇い主になっている辺境伯令嬢リュシエンヌも巻き込まれ、第三王子セルジュとの対決へ!
セルジュと側近がピエロになり、第四王女ルイーズはどんどん好印象へ。
デュッセルムント王国はその根拠となっている戦場乙女の本質により、女神アルティミオが立つことに!?
大罪人となったセルジュは、さらに自分の物語を紡いでいきます。
主人公のレンも、生まれ育った現代社会にリュミールと戻り、自身を奴隷にする桐山家と底辺校にケジメをつける。
ここに、2人の主人公はそれぞれの結末を迎えたのです。
異世界転移はやっぱり転生と違う
なろう小説では、異世界転生が流行りました。
ランキングで不利になったゆえ、今度は異世界転移へ!?
どこまでもいっても異邦人の扱い
現実で国籍を変えるのは、かなり大変です。
たとえば、比較的自由なアメリカですら、市民権をとれないままの不法移民が大勢。
独裁者が軍を私物化しているような途上国では、命の危険もあります。
『変人のサラダボウル』でも、異世界から訪れたサラ・ダ・オディンが日本国籍を手に入れる際に、経歴を偽造しました。
『カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~』は中世ヨーロッパで、その土地を治めている貴族がトップです。
戸籍制度はなく、レンは女神アルティミオが身元引受人といった感じ。
ランダナの外に住んでいて、ある種の治外法権です。
作中でも、たびたび指摘されます。
周りから見るとアルティミオの素性は不明ですが、「あれだけ立派な洋館に住んでいて高価な衣服をまとい、多くのメイドに世話されているのだから、高位貴族に違いない」という理屈。
そのアルティミオの庇護を受けているレンには、手を出せないわけで……。
「原作知識が役に立たない」のスタートライン
レンにとっては、自分がやり込んだレトロゲーム【ペリークリトル】の中です。
しかし、あまりに描写が少なく、そこに生きる人々とは手探りの交流。
本人はレベルカンストでも、「目立ちたくない」と封印するぐらいですし……。
原作ネタは序盤だけで、先の展開を読むことはできず。
完全に、フレーバー。
「こいつは悪党だから、今のうちに証拠をつかむか、先手を打とう!」
そのような展開であれば、もっとウケたでしょう。
作中では、レンは上位の強さ。
他にも機動鎧というパワード―スーツを持っている人物が多く、巨大ロボット同士の激突にも!
今は現代社会と行き来する物語がマスト
『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』のように、異世界で現代のものを売りさばくのが流行り。
それを踏襲した『佐々木とピーちゃん』も、順調な売上です。
一種のチートで、圧倒的に文化が劣っている異世界でイキります。
困っている人を助けて、悪徳貴族は現代兵器やスキルで叩きのめすだけ!
分かりやすく、ストレスフリーで楽しめる、なろう小説。
前者の『ろうきん』が、異世界メイン。
いっぽう、後者の『ささピー』は、現代社会がメインです。
『カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~』については、異世界メイン。
最初は現代社会に戻す気はなかったんですが、レンを奴隷にするはずだった連中にケジメをつけるためにラストエピソードへ……。
これは主人公とヒロインの物語
私の代表作である、『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件』。
そちらの執筆に集中するため、処女作はエンディングを迎えました。
主人公とヒロインが決着をつける
現代社会で暮らす桐山蓮が戦場乙女のリュミールに招かれたことで、始まりました。
ならば、異世界へ逃げる元凶となった奴らに復讐しなければ!
「蓮が、どのような選択をするのか?」
元の現代社会で終末勇者のパワーと、巨大ロボットになる機動鎧を持つレン。
恋人であるリュミールも、同様です。
戸惑う現代人を後目に、彼らは最後の心残りを破壊します♪
『FSS』の騎士やモーターヘッドを参考にしているため、リボルバーを持っている警官やド田舎の底辺校のヤンキーは叩きのめされるだけ。
蓮を農奴にするはずだった桐山家は、当然ながら、復讐リストの筆頭!
何も知らない桐山家は、「長く失踪していた、厄介な親戚のガキ」という見方のまま。
加えて、現代人に成りすましたリュミールを農家の嫁にしようと企み……。
生まれ育った現代社会との決別
蓮にとって、現代社会は過去です。
【ペリークリトル】の世界でチートを手に入れ、リュミールと愛し合い、冒険してきた末。
童貞を捨てただけではなく、1人の勇者となった彼に対して、桐山家と周りは「ヒエラルキーの最下層にいろ!」と圧力をかけます。
ところが、【ペリークリトル】の世界からモンスターが湧いてきて、思わぬ展開に!?
レンは、自分のメンツだけの警察やマスコミを相手にせず、リュミールと共に戦います。
圧倒的な力による蹂躙。
しかし、世界を救うためであって、ド田舎は助けない。
【ペリークリトル】の世界と繋がっているゲートが閉じることで、レンは1つの決断を下します。
アラは多いが記念すべき処女作!
今から読み返せば、「冒頭からキャラが多すぎる」などのアラが目につきます。
だけど、これが私のスタートラインでした。
少なくとも、『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件』が誕生したのは、この処女作のおかげ!
私は、この作品をちゃんと完結させました。
そのおかげで、言い訳のできない状態。
反省点も多く見つかり、次回作に活かしているのです。
第三王子のセルジュ・ランクザン・ド・デュッセルムントは、いつの間にか、第二の主人公となりました。
『オーバーロード』のザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフに近いですが、こちらの容姿は美男子。
主人公がチートで暴れ回り、それを肯定する女や仲間たちではなく、等身大の冒険譚。
カンストしたゲーム世界で上限を突破したけど世知辛い ~異世界に転移したら彼女ができました~1は完結したものの、レンの物語はまだ続いています。