役に立たない原作知識!死亡フラグに囲まれた室矢重遠くんの明日は?

「異能が当たり前の日本で、必ず主人公にやられる悪役」
それが、ゲーム世界に転生した室矢むろや重遠しげとおの運命。
異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件で、彼はどのように考えて、生存戦略を練ったのか?

4つの勢力がいる現代日本

世界中に異能者がいて、日本では四大流派による支配。
このラノベは、それぞれにまつわるエピソードがあります。

式神を使う千陣流

いわゆる、陰陽師です。
安倍あべの晴明せいめいが有名で、屈服させた妖怪を使役しています。
昔に占っていた陰陽寮おんようりょうの流れ。

京都の本拠地は、隠れ里のように結界を張っています。
主人公の室矢重遠と、その婚約者である南乃みなみの詩央里しおりの実家がある場所。
立派な庭もある武家屋敷が立ち並び、時代劇のセットか、坊さんが修行している街のよう。
イメージとしては斬魄刀ざんぱくとうのない『BLEACH』で、瀞霊廷せいれいていに近いです。

宗家と十家による当主会が、取り仕切っています。
長い歴史に応じた影響力ですが、その分だけ融通が利きません。
戦国時代と思えるほどの苛烈さで、他の四大流派も恐れている武闘派。
妖怪を使っているためか、公権力とは無縁です。

重遠くんは、いちいち悩まされる羽目に……。

現代の魔法使いである真牙流

独自の電子機器による現代魔法を使いこなす、魔法師マギクス
個人としては他に劣るものの、公権力への浸透と、育成システムでは随一!

イメージとしては『魔法科高校の劣等生』……ではなく、『ワールドトリガー』。
常に部隊で動き、チームワークによる勝利!
ルーツは海外ですが、日本ならではの発展をとげました。

もっとも社会に溶け込んでいるため、重遠くんが最初に交渉する四大流派。
実家が塩対応だから、仕方ないね!

魔法科高校の世界とは違い、戦略級はおらず、主力戦車かヘリがせいぜい。
だけど、赤ん坊から面倒を見る体制で、警察官、防衛官と、社会的な選択肢も多いです。
重遠が行ったベルス女学校は、高等工科学校のような全寮制。

警察の一部である桜技流

女を中心とした流派。
演舞巫女えんぶみこが真剣で戦っており、怪異を退治します。
モデルは、『刀使とじノ巫女』です。
こちらの世界では、どんどん犠牲になりますけど……。

公権力に吸収されており、警察の一管区。
そのため、学生も警察官とほぼ同じ立場です。

警察とは、必ずしも円満ではなく。
そのトップである筆頭巫女天沢あまさわ咲莉菜さりなが、奮闘することに!?

重遠は咲莉菜と親しくなり、必然的に警察とのイザコザにも。
ちなみに、汚れをはらう神社サイドの桜技流は、妖怪を使役する千陣流と犬猿の仲です。

オーパーツを扱う操備流

モデルにしたのは、SCP財団。
同じぐらいの危険物が多いうえに、オーバーテクノロジーや、クトゥルフ神話まで……。

倫理観のない集団で、発表すれば社会が変わるほどの技術ばかり。
『S.T.A.L.K.E.R.』のゾーン、モノリスのような物体がいて、邪神や宇宙人もいるから、これぐらいの組織がなければ、人類はすぐに絶滅するでしょう。

情報漏洩を防ぐために、閉鎖的。
内部には監視と粛清をする部署もあり、新人のリクルートも非公開です。

技術に縁のない重遠は、他の四大流派とのエピソードを済ませた後で、ついに接触!
意外なところで、新しい情報が手に入ることに!?

霊力ゼロから始まる貴種流離譚

室矢重遠は、霊力ゼロです。
そのせいで四大流派の一角を支配するどころか、東京へ放り出されることに……。

千陣流の次期宗家から廃嫡

「宗家の千陣家に、長男として生まれた」
霊力ゼロでも、これだけで勝ち組!

しかし、重遠くんは南乃詩央里と一緒に、東京の紫苑学園へ通っています。
名字が「室矢」に変わった後で。

『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件』では、自分が所属している千陣流との戦いが大きなテーマになっています。
冒頭では回復しているものの、重遠は発狂しかけた寸前っていう……。

千陣家の妹や弟を見ても、実際に動かしている十家に従うだけ。
特別な存在であるけど、スポンサーに逆らえば、暗殺される可能性が高くなります。

原作とは違うカレナの来日

この作品で最強となっている美少女。
カレナ・デュ・ウィットブレッドが、ユニオンから来日!

鍛治川かじかわ航基こうきが活躍する、【花月怪奇譚かげつかいきたん】。
その邪魔をする千陣せんじん重遠は、どのルートでも破滅する……はずでした。

原作をおぼろげに記憶している重遠は、心当たりのないカレナを式神にしたことで変わります。
霊力が戻り、クラスで目立たない陰キャから脱却!?

「高校生活が終わったら、京都の本拠地で軟禁か、あるいは、謀殺か」
そう思っていた重遠は、紫苑学園で同じクラスにいる主人公や、他の四大流派と対峙していくのです。

クトゥルフ神話もある危険な世界

【花月怪奇譚】の中か、それによく似た世界では、『クトゥルフ神話』のような邪神もいます。
死亡フラグが満載で、いつ滅んでもおかしくない状況!

室矢重遠は、紫苑学園のトラブルや四大流派、さらに海外勢力、人知を超えた邪神まで対応します。
頼りになるのは、室矢家だけ!?

時には原作知識が役立つけど、基本的に手遅れ。
それでも、重遠くんはめげない、諦めない、たまに叫ぶけど。

序盤はカレナ頼みですが、とある事件をキッカケに、自分だけの武器を手に入れる。
それに伴い、死亡フラグも大きくなり……。

本来の意味でハーレムを築く主人公

室矢重遠は、生存戦略としてハーレムを築きます。
「すぐに信頼関係を築けて、絶対に裏切らない他流の人間」への回答です。

第一夫人がハーレムの可否を決める

世界には、一夫多妻を認めている国も。
「王族で最大10人」という制限があり、頂点にいるのが第一夫人。
なろう小説でも、チートスキルを持つ主人公がよくハーレムを築きます。

しかし、現実のハーレムは「全員を平等に愛する」というのが鉄則!
わりと面倒臭いため、「第一夫人に気を遣いたくないから」の考えが主流に。

歴史的には、「出征した男が死亡した」という未亡人への対応。
裕福な男が面倒を見ろ、と……。

『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件で』も、本来のハーレム。
室矢重遠は、南乃詩央里の許可を得て、他の四大流派にいる女子と出会います。
ただし、詩央里がハーレムに加えるかどうかの全権を持つ形で!

他流の女子との相互扶助

千陣流でうとまれている重遠は、いつ謀殺されてもおかしくない立場。
紫苑学園の高等部に編入したことが、最後のモラトリアム。
ハーレムによる相互扶助は、詩央里として苦渋の決断です。

なろう展開であれば、「原作の【花月怪奇譚】はこうだから、こう!」と解決します。
けれど、重遠くんは半ば発狂しているうえ、常に監視されていた状況。
イキるどころではなく、生きられるかどうか!?
霊力ゼロのオワタ式による日々を強いられれば、そうもなる……。

ゆえに、霊力が戻ってきたことで、先手を打ちました!

四大流派にいる女子を引き込み、千陣流が殺しづらいように。
他流からも、「あそこは千陣流だから」となります。
お互いに監視させることで、室矢家をパワーバランスの中心に置くプラン。

記号になっているヒロインはいない

室矢家のハーレム計画は、「四大流派の仲の悪さ」が前提。
それゆえ、普通にキャリアを築いている女子は見向きもしない。
応じてくれるのは、「自分の流派で居心地が悪い」という訳あり!?

WEB連載は、数年がかり。
オープニングでは霊力ゼロだった重遠が、どんどん成り上がっていきます。
『とある魔術の禁書目録』のような状況で、室矢家のハーレムに加わっていく女子たち。

ヒロイン達は、南乃詩央里を始めとして、1人ずつ参加。
主人公に媚びるだけの女はおらず、それぞれに事情を抱えている。

記号になっているヒロインは、ここにいません。
重遠への想いを抱えつつ、他のハーレムメンバーとの人間関係も!
彼は最終的に女を悦ばす性豪となりましたが、そうでないと夜の性活が回らないので。

間違っているのは社会だ!

五感で分かることは、ごく一部。
【花月怪奇譚】とよく似た世界に転生した室矢重遠は、異端ゆえの結論へ!?

原作は主人公の視点でしかない

重遠が完全攻略した【花月怪奇譚】は、鍛治川航基が主人公!
それゆえ、彼の視点か、その行動を否定しない演出、ストーリーです。

ライバルの千陣重遠は、とことん悪役!
同じ行動パターンであれば、主人公の「許さないぞ!」に大義名分があるものの――

この世界線では、千陣家を廃嫡された室矢重遠。
紫苑学園によくいる、陰キャの1人です。
クラスメイトの航基も、「最初はビビったけど、霊力ゼロの雑魚だな!」とバカにしています。

メインヒロインの南乃詩央里は、重遠のお付きとして献身。
恋する男子として、鍛治川流の復興として、航基は彼女を求めますが、相手にされない。
カレナの来日をきっかけに、原作の主人公は置いてけぼり!?

四大流派と戦った末に見えたもの

重遠と詩央里の関係は円満そのもので、限られた人間だけ知っている状態。
【花月怪奇譚】のストーリーはぶっ壊れて、平和な学園生活です

鍛治川航基がひたすらに横恋慕する一方で、室矢重遠は四大流派の女子を求めます。
傍から見れば、「詩央里がいるのに、女漁り!?」としか見えないわけで……。

けれど、重遠は腐っても千陣流の名家で、詩央里によって優雅な生活。
彼女の実家である南乃家は、十家の1つ!
機嫌を損ねれば、苦学生にしてフリーの退魔師にすぎない航基は、あっさり消されるだけ。

重遠は、異能者の抗争とは無縁の紫苑学園で足場を固めつつ、他流との接触へ。
四大流派をコンプリートした後で見たものは?

パワーアップしていく死亡フラグ

『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件』のタイトル通り、死亡フラグがどんどん出てきます。

室矢重遠が弱い序盤では、それに見合った死亡フラグ。
しかし、ハーレムメンバーが増えて、彼が強くなれば、死亡フラグも強大に!

モブになった鍛治川航基は、安全です。
真の主人公となった重遠に敵対せず、大人しくしていれば……。

この世界では異能者と非能力者の対立があり、そちらも絡んできます。
最たるものが桜技流で、「異能を持たない多数派による支配」という歪みにメスが入ることに。
四大流派と関係をもった重遠も、部外者ではいられません。

全ての勢力の上に立った後は?

南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん』は、「仲間を集めるまでが面白い!」と評されています。
このラノベも、同様です。

信用できるのは室矢家と仲間だけ

室矢重遠は、東京で南乃詩央里と二人暮らし。
そこにカレナが合流して、いよいよ室矢家がスタート!
四大流派からヒロインを集めつつも、色々な化け物を倒していくのです。

異能者はいますが、どの組織も自分の都合だけ。
秘密結社が乱立しているような現代社会で重遠が信じるのは、室矢家と仲間だけ!

1つずつ乗り越えた先には、ハーレムと、日本だけではなく世界が無視できない力へ……。

一軒家に潜むゾンビ、時が止まった洋館と、これだけでも危険ですが。
重遠と女子たちは、四大流派での召喚儀式や、日本を滅ぼすほどの怪異とも対峙していきます。
原作の【花月怪奇譚】の各ルートを網羅した先に、待っていた真実とは!?

重遠が死んだあとの室矢家は?

まだ高校1年の室矢重遠ですが、いずれ老いて、死にます。
日本を裏から支配している四大流派は、ハーレムメンバーとの子供を欲しがるでしょう。
あるいは、室矢家を牛耳ることで、頂点に君臨することも……。

異能者が普通にいる世界は、室矢家に優しくありません。
いくら戦略級のスキルを持っていようが、その子供、さらに孫になっていけば、家系としての基盤や組織力がモノを言うのです。

重遠たちの決断は、ギリギリまで決めていませんでした。
選択肢は、大きく分けて2つ。
他の連中にのっとられる前に自分たちで終わらせるか、もしくは、室矢家を絶対的にするか……。

室矢家は、1つの奇跡です。
本来ならばあり得ない、四大流派で発言力をもつ女子たちの集合。
彼らの話し合いは、終盤で行われます。

死亡フラグだらけの世界の日常

異能者が普通にいる世界は、いつ滅んでもおかしくない。
人間同士の争いだけではなく、クトゥルフ神話とSCPが混ざっているうえ、『ファイブスター物語』のモーターヘッド(現、ゴティックメード)と同等の兵器も出てくる始末。

異能者と非能力者の対立で、この世界の大戦は尻すぼみ。
室矢重遠は、せまい箱庭である紫苑学園から出て、それらの真実と直面します。
いっぽう、原作の主人公だった鍛治川航基は取り残され、スケールが小さいままの嫉妬へ……。

原作の悲劇は、何だったのか?
カレナが来日した理由と、その影響は?
新しい主人公になった重遠は、航基と決着をつけるのか?
隙あらば掌握を狙う連中へのケジメ!
何よりも、原作の悪役だった千陣重遠はどうなった!?

異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件は、室矢重遠とその女たちの物語。
原作では分からなかった真実による最後の決戦で、一区切りです!