ラノベでは、親が出ないか、一緒に暮らしていません。
この疑問について、詳しく解説!
娯楽として楽しませるには、避けたほうがいいポイントも!?
親はいるが諸事情で別居中
主人公の親がいると、ストーリーの幅がせまくなります。
ラブコメでは、物分かりがいい親も?
保護者がいると話を進めにくい
ラノベの主人公は、メイン購買層が共感しやすい、高校生です。
それも、入学したばかりの!
だからこそ、保護者がいると話を進めにくい……。
「もう、寝なさい!」
「隠れて、何をしているんだ?」
「テストの成績を上げるまで、スマホの通信量を下げるわよ?」
主人公が戦うのは、保護者になってしまう!?
これを逆手にとったのが、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない!』です。
ただ、俺妹は、ラノベの皮をかぶった一般文芸。
『とらドラ!』と同じカテゴリです。
原則的に、「ラノベの主人公に親はいらない!」と考えるべき。
マンションのほうが舞台装置として便利
戸建てと、マンション。
夢のマイホームを考えたときに、究極の二択です。
戸建ては、町内会を避けられません。
隣接している家との境界線を巡ってのトラブルなど、色々な問題が出ます。
その点、マンションは便利♪
最寄り駅まで近く、徒歩で色々な施設へ行ける。
今は、わざわざ主人公を貧乏にすることは少なく、『のんのんびより』のように理由がなければマンション一択です!
『魔法科高校の劣等生』の司波兄妹のように、高級住宅街にする手もあります。
しかし、豪華な注文住宅でブランド物の家具となれば、「金持ち」という設定が必須。
友人やヒロインとの密談をやりやすい
『冴えない彼女の育てかた』は、安芸倫也が女子を連れ込み、自室で話していました。
同人ゲームという話題でも、ここなら安心♪
自宅は、ファミレス、カフェのような、他人がいる場所の対極。
『妹さえいればいい。』のように、マンションの一室に集まり、膝を詰めての話し合い。
これはアニメにしやすく、ユーザーに指摘される矛盾も少ないです。
コスパ抜群!
学校では、誰かの目がある。
高校生が利用できる店も、タカが知れています。
となれば、親がいない自宅だけ!
安いアパートでは、会話がダダ洩れではありますけど……。
ガチの一人暮らしが少ない理由
説得力がないから。
フィクションであろうと、読者が萎えることはNGです。
未成年の高校生は法律行為ができない
18歳で成人となったが、扶養されている高校生は原則的に未成年。
カードや入居の審査を通りにくく、大人の助けが必要です!
そもそも、毎月の支払いで詰みます。
現代社会は、ご近所や教師と向き合う必要もあり、大人が敵。
自立していない主人公では、荷が重すぎます。
というか、それは人間ドラマになり、一般文芸です。
わずらわしい制約を気にしないジャンルが、1つあります。
それは、異世界ファンタジー!
転生チートをもらえば、幼児が無双してもOK!
読者にストレスがないよう、周りは主人公より愚かに♪
家事に追われる描写はいらない
一人暮らしは、大変です。
今は専業主婦がどんどん減っており、政府も共働き優遇ですが……。
戦中までは、昔ながらの竈や風呂もあった日本。
ところが、戦後の復興と技術躍進で、どの家庭にも家電やサービスの普及!
「洗濯機を回したら、それを干して、乾いたら畳む」
このような家事を描写する必要はなく、あるとしても、ヒロインと仲良くするイベント。
しかし、一人暮らしは、何をするにしても孤独!
主人公を周りに賛美させることが、ラノベの目的です。
血の繋がった妹であろうと、「絶対に男を上回らず、その下にいる女」が必要に。
『干物妹!うまるちゃん』は、まさにそれ。
下の立場になるアルバイトはNG
学生の一人暮らしでは、日銭稼ぎ。
けれど、店長や同じバイトの先輩に顎で使われ、命令されます。
良い気分にさせるラノベで現実を思い出させるのは、御法度!
逆に言えば、バイトの先輩として後輩に教えることは、OK!
『はたらく魔王さま!』の真奥貞夫も、この路線。
マグロナルド幡ヶ谷駅前店の前に、いくつもクビになったフリーターですが。
早くに結婚や仕事をする異世界は、幅が広いです。
チートで無双するだけではなく、現代と往復して利ザヤ稼ぎという『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』『佐々木とピーちゃん』も出ました。
ガチの一人暮らしだと、フリーターの若者か、人生に疲れた中年になる傾向。
お仕事メインでは、仕方のない話です。
ラブコメは妹との同棲
ラブコメと妹は、切っても切れない!?
血が繋がっているかどうかで、差が出てきます。
邪魔の入らない空間でイチャイチャ
俺妹の後継である『エロマンガ先生』は、親を排除した、2人だけの愛の巣。
連れ子の可愛い妹とイチャイチャするための舞台です。
「他は負けヒロインで、周知済み」という設定を通すためでも……。
単身用のワンルームで、「兄妹や夫婦ならば、2人暮らしまで可」というケースも。
軽量鉄骨には防音がなく、会話は筒抜けに近いですが。
フィクションならば、問題ありません。
台所、シャワールーム、トイレがあれば、どれだけ狭くてもイベントが発生。
『ストライク・ザ・ブラッド』の暁古城の兄妹は、高級マンションに二人暮らし。
『アオのハコ』のように、同棲を強いられるパターンも。
親同士の再婚で義理の兄妹になるのは、もはや古典!
ラブコメで一人暮らしの必要はなく、親を避けるだけで十分。
いい雰囲気になるラブコメでは、一線を越えないよう、逆にストッパーが必要です。
親がいるとラブラブになれない
高校生は、保護者に逆らえません。
毎月のスマホ代、学費、毎日の食事、お小遣いと、親に払ってもらうだけ。
バイトで稼げる金は少なく、一人暮らしの維持は難しい。
親は、子供を止める側。
危険に近づけず、不安定な仕事につかないよう、勉強させる。
『僕だけがいない街』を見て分かる通り、敵になったら絶望しかありません。
ゴムの避妊は確率が高いものの、万が一も。
ゆえに、親と同居している高校生は夜に出歩けず、危険な場所にも行きづらい。
恋人ができても、セックスは阻止される。
どちらの家へ行くにしても、家族の誰もが注目。
たとえば、『BLEACH』の黒崎一護の部屋に井上織姫が来ても、絶対に邪魔されます。
昔に流行った居候としての押しかけ
2020年代は、「共同生活をしながら、ヒロインと親しくなる」の路線はマイノリティー。
『甘神さんちの縁結び』は『ラブひな』の後継ですが、理不尽な暴力ヒロインなし。
戦後は盗まなければ生きられない混乱期で、中卒の社会人もザラ。
仕事がある場所へ行き、同じような奴らで暮らした名残が、『めぞん一刻』です。
他に頼れる家族や親戚がおらず、昔の江戸のような助け合い。
けれど、『とある魔術の禁書目録』『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』のように、主人公のマンションへ迷い込むように……。
田舎や都心の捨てられた場所に残っている、倒壊寸前のアパート。
四畳半、六畳半は、『貧乏姉妹物語』『六畳間の侵略者!?』『はたらく魔王さま!』に残るだけ。
高校生の主人公でわざわざ設定にする必要は、全くありません。
現代社会では説得力が必要不可欠
現代を舞台にすれば、説得力を求められます。
リアリティの匙加減として、「親は一時的にいない」が最適解♪
すぐに炎上することへの対策
現実に近いほど、何気ないことで炎上します。
たとえば、親がいない一人暮らしで、「虐待だ!」というように……。
「高校生だけど、親は仕事で海外赴任」というのが、当たり障りのない手段。
『とある魔術の禁書目録』は、学生だけの学園都市でした。
あっちはあっちで、「子供を返して!」と押し寄せる親がいますけど。
どれだけ馬鹿なことをしても、まだ高校生だから。
一番マズいのは、「親と同居だが、誰も止めない」という流れ。
そうなると、「大人は何をしている!?」の指摘へ。
2012年に公開された『おおかみこどもの雨と雪』は、その典型。
こちらはオリジナル作品で、ラノベとは違う。
「シングルマザーの子育て」という、主婦が敏感になるテーマだっただけに……。
親がいることで安心感を得られる
「最後は、親がいる!」
その安心感こそ、ラノベで親を登場させる理由。
セーフティーを残しておけば、炎上する確率は低くなります。
2021年の『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』は、センシティブ!
カクヨム発のWEB小説で、売っている家出女子との同棲、それも安アパートで。
吉田は荻原沙優に手を出さず、ギリギリで見逃された感。
ヒロインの親との対決が、メインテーマでした。
親権を持つ保護者がいて女子を泊めた時点で、アウトすぎる……。
敵と味方のどちらにせよ、キャラの保護者は絶対的。
こういった問題が出やすい現代ファンタジーが敬遠されるのは、当然です。
自宅で完結させれば秘密のまま
前述した『ひげひろ』が、自宅で秘密を守った典型!
沙優は通報されたら即アウトなのに、近所のコンビニでバイトしていましたが……。
泊まらせるか、他人に聞かれたくない話もできる、まさに安全地帯。
ネカフェは、しょせん店舗。
買ったものを配置して、好きなものに囲まれた自宅こそ、理想郷!
スマホがあれば、もう変わりませんし。
2010年に全盛期となった業態も、すっかり需要がなくなったようで。
親がいない自宅は、高校生のラストリゾートにして、一番欲しいもの。
気になる女子を呼べば、言うことなし♪
大学生の主人公はマイノリティ
大学生になれば、一人暮らしも可能です。
世間では大人と見なされ、学生証を示せば、だいたいのスペースに入れます。
大学生の恋愛はセックスがつきもの
ラノベで大学生がいないのは、その恋愛にセックスがあるから。
『けいおん!college』でも、大学生になった唯たちが軽音部のバンドという、チャラい男たちがいるフィールドで彼氏がいない不自然さ……。
女子大は、むしろ集中的に狙われる。
うっかりすれば、男子から「無料のお店」という扱いだ。
エスカレーター式の名門でも、普通に受験して難関大へ進学する女子が多いとか。
ラノベで活躍する主人公は、女にモテます。
BL(ボーイズラブ)を除き、そうでないと不自然すぎる。
高校ならば、家族のキャンセルや、「恥ずかしいから」のすれ違いもありますが。
大学生が誘ってきた女に応えないのは、さすがに……。
あまりに自由で共通体験になりにくい
大学の人間関係は、驚くほどに薄い。
どこかのサークルや高校までのグループがなければ、講義の前後で挨拶するかどうか。
それでいて、共通の講義に出れば、顔は覚えるという。
『NHKにようこそ!』の佐藤達広は上京して大学に通ったが、希薄さに耐えられずに中退。
イジメになるほどの接点もなく。
『上京生活録イチジョウ』も、高卒の一条が村上と共に六畳半で、だらだらと日雇い。
どちらもフリーターですが、地元を離れた若者にはありがち。
サークルで、就活に向けての実績作り。
ベンチャー企業などで、インターンに明け暮れる。
ひっそりと、誰にも邪魔されない日々を楽しむ。
日本で唯一のモラトリアムにして、自由な時間。
必ず進学するとは限らず、中高生をターゲットにするラノベに向いていません。
共感しにくいから。
一人暮らしと短期バイトが当たり前
大学生は、日雇いで稼げます。
一時期はフリーターと賛美されたものの、若い時間はとても貴重。
『はたらく魔王さま』の真奥貞夫は「エンテ・イスラ」からの迷い人で、明るい面が強調されました。
大学生の一人暮らしなのは、大学受験が「合格する可能性があるところに志願」となっているから。
地元だけに限定すると、浪人しても合格しないことが多い。
実家からの仕送りでは足らず、講義の合間にバイトをするのが基本です。
『ゴールデンタイム』は、大学生の恋愛。
記憶喪失という設定を活かし、駆け引きが続く。
しかし、お金に困っていないブルジョアな雰囲気で、やっぱり人を選ぶ。
多くの人に売ろうとしたら、「高校に入学したばかりの主人公」とするべき。